MSYの活用の反対を主張する論文で有名なのは Larkinの "An Epitaph for the Concept of Maximum Sustained Yield" (1977)だろう。題名を和訳すると「最大持続生産量の概念への墓碑銘」になる。しかし、その後に発表された Maceの "A new role for MSY in single-species and ecosystem approaches to fisheries stock assessment and management." (2001) https://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.462.9670&rep=rep1&type=pdf
ではMSYへの認識の変化について書かれている。MSYを達成するような漁獲係数(漁獲圧) F_MSYは国連食糧農業機関(FAO)が発行する協定やガイドラインに登場し、アメリカのマグナソン・スティーブンス法(Magnuson–Stevens Fishery Conservation and Management Act)にも組み込まれた。一つの目安、参照点として活用しているとのこと。
F_MSY(最大持続生産量を達成するような漁獲係数)のような参照点は時間と共に変化するもの。その原因は様々だが、それら参照点の定義と推定のための技術基盤が主な原因だろう。reference point (「参照点」の英訳)は点ではなく reference series (「参照組」とでも訳すか)としてみる方が現在や過去からの持続性を数値化するのに適している。