海勉 Studies of the ocean

国民共有の財産である海洋水産資源の管理は国民に開かれた政策の下で科学的に行われなければならない

最近の論文(MSC)とMSCレポート 記2021年10月10日

Wakamatsu, H., Sakai, Y., (2021) Can the japanese fisheries qualify for MSC certification?

https://doi.org/10.1016/j.marpol.2021.104750

日本の53 ケースの漁業のデータに対しMSC pre-assessment scores. を使って日本の漁業がどれくらいMSC 認証を受ける水準に達しているかを調べる。比較対象としてMSC認証を受けた漁業も用いる。MSC認証を受けるための基準としては、

[1]資源の持続可能性 Sustainability of the stock

[2]漁業が生態系に与える影響 Ecosystem impacts

[3]漁業の効果的な管理 Effective management

の3原則があり、この各原則ごとに数項目の具体的な評価基準が設けられている。この3原則のそれぞれで平均80点以上(100点満点)の得点ができればMSC認証を受けることができる。

集めたデータを調べる限りは、TAC 設定魚種はTAC が設定されていない魚種よりも良く管理されている。日本の漁業がMSC 認証を受けるにふさわしい候補になるためには、2019 年施行の改正漁業法でも言及された出口規制管理(output based management)をきちんと行うこと、又は混獲や絶滅危惧種の管理をきちんとすることが必要とのこと。

 

Marine Stewardship Council の公式ウェブサイトは年間報告書annual reportを公開している。

https://www.msc.org/about-the-msc/reports-and-brochures

このうち2020-2021を読むと

https://www.msc.org/docs/default-source/default-document-library/about-the-msc/msc-annual-report-2020-2021.pdf

MSCに関連する漁獲量(MSC engaged catch)は2020-21に1600万トンに達し、2019-20の1420万トンから増加した、との記述があり、白身魚、小型浮魚、マグロ、タコとイカカニとロブスター、サーモン、小エビ、二枚貝、海藻ごとの集計データが示される。